Yuima経営デザイン室は、企業と企業、企業と消費者の「間」に立ち、企業の技術や想いを新しい商品と事業に「結ぶ」、商品開発のパートナーです。これまで150品以上の新製品開発と、20社以上の中小製造業様との共同開発に携わってきた経験を、日々の支援に活かしています。技術の棚卸しから市場分析・消費者理解、商品企画、試作・量産化支援まで、ものづくりの現場に伴走することが私の専門性です。
その私が、今年4月から板橋区の経営改善チームの専門員として、中小企業様の経営改善や資金繰りのご相談、創業支援に携わっています。「商品開発の専門家が、なぜ財務や資金繰りなどの経営改善の相談を受けているのか」と、不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。今日は、その理由をお伝えしたいと思います。
商品開発の専門性だけでは、届かない企業がある
皆さまご存知のとおり、多くの中小企業は財務状況が厳しい状況にあります。
東京商工リサーチの2026年4月26日の記事によると、中小企業実態基本調査を基に「債務超過※1」かつ「EBITDA有利子負債倍率10倍超またはマイナス※2」と定義した、いわゆる「ゾンビ企業」に該当する企業は40万社前後にのぼる、というのが事業再生の現場の共通認識になっているといいます。
出典元:2026年「ゾンビ企業って言うな!」 ~ 金利引き上げ、窮境にある企業がより窮境に ~ | TSRデータインサイト | 東京商工リサーチ, https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1202769_1527.html
※1:会社の負債を、すべての資産をもってしても返済できない状態の企業
※2:本業で稼ぐ力(総じて、営業利益に減価償却費を加えた金額=EBITDA)で、「有利子負債」(銀行借入など利息の付く負債)を返すのに10年以上かかる、もしくはEBITDA自体が赤字で、そもそも本業の利益で返済する目処が立たない状態の企業
さらに、国内では長年のデフレから「金利のある世界」に環境が変化し、金利上昇の影響で支払利息の増加に苦しむ企業や、人件費高騰の影響も顕在化しており、直近の資金繰りに苦しむ企業も少なくありません。
こうした企業様の中には、高い技術力を持ち、独自の強みを持ちながらも、財務状況が厳しく、新しい商品開発や新規事業にはとても手を付けられない、という企業様が少なくありません。どんなに優れた技術や想いがあっても、それを「新しい商品」に結びつけるには、企業自身に一定の体力が必要です。今やるべきことは、企業の財務的な体力をつけることを最優先で支援することなのです。
だからこそ、財務の現状把握と商品開発の両方を見られる専門家が必要だと、私は考えています。

板橋モデルとは
板橋区の経営改善チームは、中嶋修センター長が考案された「板橋モデル」のもとで、個々の中小企業様の経営者や経営状況にあった支援を行っています。
板橋モデルの経営改善計画フローでは、以下の6つの視点で現状を把握し、課題を抽出したうえで、優先順位を決めて解決策を立案していきます。
1. 経営者へのヒアリング
2. 借入金や債務の状況
3. 営業(売上、得意先)の状況
4. 資金繰り表の有無と作成
5. 経費チェック
6. 金融機関との連携状況
中嶋センター長が専門員に常々伝えているのは、「必ずある欠点を探すこと。そして可能性を引き出すことが我々の最大の仕事」です。そのためにも、専門員ひとりひとりが「自分の専門性をベースに、総合医を目指しなさい」と指導されています。これは、板橋モデルにおいて経営改善計画の策定で「大きな絵を描くこと。全体のバランスを見ることが大切」との基本的な考えにも通じています。
このフローを実際の現場で繰り返し使うことで、私は、企業様の財務状況がどのような状態にあっても「今どこに手を打てば体力が戻るのか」を見極める目を養っています。これは、商品開発の提案をする以前に必要な、いわば土台となる力です。

この学びは、これからどう活きていくか
板橋区経営改善チームは、常に中小企業の現在の現場を診て、経営改善支援を行っています。さらに、これからの中小企業支援には、企業の生産性向上や付加価値型経営としての商品開発や新事業開発へのチャレンジによる企業の「稼ぐ力」が、より一層必要になる時代に入っていきます。
商品開発の専門性と、板橋モデルで培った経営改善支援のノウハウを掛け合わせることで、私は、貴社が今どのような経営状態にあっても、その「今の体力」に見合った次の一手をご提案できます。財務状況に不安があるから商品開発の相談はまだ早い、と考える必要はありません。むしろ、その体力を正しく見極めることこそが、商品開発を成功させる第一歩だと考えています。
Yuima経営デザイン室は、「商品開発パートナーとしての専門性をベースにした、経営支援の総合医」として、そして「稼ぐ力を鍛えるパーソナルトレーナー」として、中小企業様に伴走いたします。

板橋区経営改善チームでの学びについては、今後もこのブログで触れていきたいと思います。

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